「最初に教えたのは、手を洗うことでした」

S検導入事例/新島学園短期大学様

 当協会賛助会員の新島学園短期大学(群馬県高崎市)では、2025年度より「キャリアデザイン学科 フードビジネス専攻」を開講、授業の一環として「S検」を導入した。大学では初の取り組みとなったS検活用のきっかけや反応などについて伺った。

専門教育ではなく「土台づくり」

新島学園短期大学 溝口康特任教授

 「食を学ぶと聞くと、専門的な知識や難しい理論を想像するかもしれません。 でも、私が学生たちに最初に伝えたのは、“手を洗う”という、ごく当たり前のことでした。 それが学生からの反響も大きく、面接でその話をしてくれた学生もいるようです」 そう語るのは、同大学の溝口康特任教授。 30年以上にわたり小売業の食品バイヤーや地域産品の販路拡大などの実務経験を有し、当協会の各種事業にも多大なご協力をいただいた。 その知見を活かし、2025年度から新設されたフードビジネス専攻の内容充実に注力されている。 生産から販売まで、地域と連携したフィールドワークを積極的に行い苦労を学ぶことも重視しているという。

 栄養士や調理師といった国家資格を養成する学科ではない。 だからこそ、溝口教授は強い問題意識を持ったという。 「食品を学びました、と言って社会に出たときに『そんなことも知らないの?』と言われてしまうのが一番つらい。 中途半端な知識は、武器どころかハンデになることもあります」 そこで重視したのが、専門知識の詰め込みではなく、ビジネスシーンに出る前に“考え方の土台”をつくることだった。 その一環として、「S検」を活用している。

S検が「今の時代に合っている」点

 「S検の魅力は多数ありますが、ひとつはスマホで完結できる学習・受検スタイルです。 本学では学生一人ひとりに個人 PCの所持を必須としていませんので、学内のパソコン教室でも、自宅でも、さらにはスマホでも取り組める点は大きなメリットです。 体調不良などで授業を休んだ学生に『スマホでもできるよ』と伝えると、ちゃんとスマホで受検して、修了証を画像で送ってくれました。 学ぶ場所を選ばない、今の学生に合った学び方だと感じました。

 また、内容が“生涯活かせる”ことも魅力です。 本学ではS検の「安全衛生」「食品表示」「流通用語」を受検しますが、食品業界に限らず、生活者としても必要な基礎知識で構成されています。 特に食品安全衛生は、“手洗い”から始まります。 子どもの頃から親に言われてきたことですが、『なぜ必要なのか』を言葉として理解する機会は意外と少ない。S検では、その理由をきちんと説明してくれています」

授業と連動した導入で成功体験を

 「S検」は後期の講義に組み込まれ、フードビジネス専攻だけでなく、他の学生にも開放。 結果、想定を上回る学生が受検したという。 “食品安全衛生”「食品表示」は、多くの学生が初回で合格。一方で「流通用語」は苦戦する学生も少なくなかったという。 「棚卸や粗利など、流通の仕組みや用語は、私たちにとっては当たり前でも、前年まで高校生だった学生にとっては未知の世界。 でも、それに一度きちんと向き合った経験自体に大きな意味があると考えています。 授業を受けながら資格が取れる、というのは学生にとって分かりやすい成功体験ですね」 合格後、修了証を手にした学生たちの表情は明るく、自信に満ちていたそうだ。

就職のためでなく人生を豊かに

 溝口特任教授はS検を「就職のための資格」とは捉えていない。 「食の学びの入口」として位置づけ、今後も継続的な活用を進めていく予定だ。 「食品業界に進まなくても、買物の仕方が変わります。 食品表示を見て考えるようになります。 それだけで、人生は少し豊かになります。 たとえば保育士を目指す学生にとっては、子どもや保護者に『なぜそれが大切なのか』を説明できる力の基礎になると感じています。 いきなり高度な専門性ではなく、まずは“手を洗う” 意味を理解すること。 そこからすべてが始まると思うんです」 知識を蓄えるだけでなく、考える軸=食のリテラシーを育てる検定として「S検」は教育現場においても確かな役割を果たしているといえよう。

当協会機関誌「セルフサービス」取材より
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