「まずはやってみよう!」全社でチャレンジ
前月号では、株式会社スーパーキタムラ様の従業員の皆様に、今年から「S検」に取り組むことになった際のお気持ちや勉強方法、チャレンジ後の変化などについてお聴きしました。
今月は、企業側の導入理由や、役員から見た社内の変化などについてお聴きします。
「S検」受験の真の目的
株式会社スーパーキタムラ様は、東京都大田区南馬込の住宅街に位置し、従業員とお客様、お客様同士の会話が店内のあちこちで弾む、アットホームなお店です。
一方で、北村成吏社長には、同じ場所で長年、1 店舗で運営していることによる悩みもあるといいます。

「1 店舗しかなく、従業員もあまり入れ替わらない、当社のようなスーパーマーケットは、どうしても独自のルールや用語などができてしまいがち。社員教育の体制も確立していません。今回、協会事務局からS検の活用を勧められたときに思ったのが、業界で広く採用されている試験のために学ぶことによって、少しでも『標準』に近づけるだろうということでした。
三十数年前、私が別のスーパーマーケットに修業へ行った際は、新入社員の時から『前進立体陳列』『ミニキャリー』 『カートラック』などの手法やマテハン、用語などを教わりました。それが当社に帰って来た当時、そういった用語が通じなかったのです。それでも仕事はできるし、自分が合わせればいいかと思っていましたが、今回、テキストを見て、自分が研修を受けた用語の説明が載っていて、当社の皆さんにも基本的な用語や、店舗運営の理論などについて、身につけて欲しいと思い、ベーシック 1 級のチャレンジを決めました。
合格する、しないは重要ではなく、学ぶ姿勢、チャレンジする姿勢を見たかったのです。試験への取り組みを通じて、普段とは違った従業員の一面を見ることもできました。評価がガラッと変わった人もいます。意外に、ちゃんとやるんだと。それが一番の収穫だったかもしれませんね。その従業員の本質が見えていなかったと反省しています」
20 年、30 年後を主導する人材の輩出を期待
同社では従業員をグループ分けし、経験や職位の低い順に、期間を定めて受験したそうです。職位が上がるほどプレッシャーがかかる仕組みとなっています。
「『べつに、合格できなくてもいいんだよ』と見せたくて、テキストもほぼ見ずに、とりあえず 1 回やってみたら、受かっちゃった」と北村社長。それによって、さらにプレッシャーがかかったというのが、人事をご担当されている北村圭司副社長。新人教育や求人面でも「S検」の効果を感じているとお話しくださいました。

「みんなが受験に向けて同じテキストで勉強したことで、社内の共通用語ができるきっかけになったと思います。これまで当社にはマニュアルもありませんでしたので。また、新入社員研修に『入門講習』が役立っています。スーパーマーケットのことを全く知らないで入社してくださる方も、アルバイトなどの経験がある方もいる中で、こちらとしても何から教えたらいいか、迷うことも多いのですが、教えている側にとっても『これで合ってるんだ』と確認できますし、ひとつの指針になりました。
当社も人手不足の状況で、なかなか採用ができずに、一方でベテランの従業員が退職されていきます。これまでは求人票の研修制度欄は『なし』でした。それが、S検の講座という研修制度があります、と書けるようになったことは嬉しいですね。少しでも入社いただけるきっかけになればと願っていますし、従業員みんなで学んだことと当社、スーパーキタムラが長年大事にしてきた魅力が結びついて、企業としての質の向上につながり、お客様にもより良いサービス、価値が提供できることを目指したいですね」
「チャレンジの数だけ成長できる!」と、新卒採用や人材育成に注力するスーパーキタムラ様。今後も幅広いご活用を期待しております。